好きな男についてです。たぶんこの話に関しては最後になる気がします。
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誰も好きな男の代わりになれない 私だって、たとえば仕事を辞めて新しい人が入ったら仕事はきっと滞りなくいつもみたいに進むけれど、本当の意味では誰も私に代われない
気持ちを伝えられたらいいと思っていた それだけでいいと思っていた でもいざ言うぞと思い始めたら、何か少しだけ救われたいと思ってしまう 始まる前に終わっている恋なのに 人間っていやな生き物だな
奥さんと別れてほしいと思ったことはない気がする ああ、文句言ったり長年一緒にいるから飽きたとか言うけどなんやかんや大事にしてるんだな、と思う瞬間がたまにある 好きな人をずっと大事にできる所も素敵だなって思う だからもうずっとこんなに苦しいんだよね
好きな男と奥さんはすごく長い間付き合って結婚して今もお互い文句を言いつつ離婚の話が出つつも二人でいる 私は好きな男と出会ってたった1年半くらいで、毎日一緒に居たわけでもなくて、言葉すら交わさない日だって沢山あって、若い頃何してたとかはいっぱい聞いたことあるけどきっと好きな男のこと全然知らなくて、好きな男も私のこと何も知らなくて、それでも話しかけてもらえただけで嬉しくなってしまうくらい好きになったり、こんなにずっと苦しいのに大切な、きっと奥さんに貰ったであろう失くしたブレスレットを探しに行こうって言って一人で傷ついたりしている 何も知らないし、全然かっこいい見た目だってしてないけどそんなことどうでもいいと思えるくらい好きだったし、きっとずっと好きだよ
好きな男にどうして欲しいの?みたいなこと聞かれたとしたら、上手く答えられないな 自分のことなのに好きな男に何を望んでいるのかわからない でも、出来ることならそばにいて欲しいなって思う
決めたじゃないか 誰も終わりにしてくれないから自分で終わらせなければいけない
言うぞって決めた日から好きな男が海外旅行に行ってしまった 他の人が毎年行ってるのだと教えてくれた なんだ、ビンタされたり何回も離婚の話したり不満があってもやっぱり毎年旅行行くくらい奥さんと仲良しなんじゃん 知らなかったから頭から水かけられたみたい
一週間延期になった告白の日が来るまでは毎日涙が止まらなかった やっぱり言うのやめておこうか 言った後にまたいつも通り話せるだろうか 面と向かって振られるのってどれだけ辛いんだろうか 傷ついてもそれからなんとかやっていけるのだろうか 自分の思いを伝えるのってこんなに怖いことだったのか
決戦は金曜日 店とってあるの?とメールが来て適当にどこか空いてる店でいいかとか思ってたけど前日に慌てて店を予約したら行きたい店や行ったことある店は予約がとれなかった 本当にポンコツ 対面だと緊張するから横並びで座れて好きな男が煙草を吸える店を選んだ
お昼までは元気だったのに約束の時間が近づくにつれて体調が悪くなった 華の金曜日 楽しそうな人が行き交う中ベンチで1時間くらいうずくまっていた メイクも髪も服装もいつもよりほんのちょっと気合い入れたのに情けない
「他に誰か来るの」ってメールが来た 相談したいことがあるって初めて私からご飯に誘ったけど、他の人もいると思ってたのか 他の人がいた方が良かったのかなぁ すぐ落ち込む女
最初はいつも二人ともビール 店員さんにおまかせで料理を頼んだけど途中から食べれなくなってきて「三戸ちゃんあんま食べないのにおまかせにするからじゃん」と怒られた いつもに増してダメダメだな
仕事の話とか旅行の話とかした GWに温泉に行った話したら写真見せてって言われたけどそんなに写真撮ってなくて分かりづらい写真やかわいく映れなかった写真ばっかで見せれるものが全然なかった 全然見せてくれないと文句を言われた もっと写真撮ってたら盛り上がれたかなぁ
ほぼ毎回聞いてくるからきっと今日も「彼氏できた?」って聞いてくるんだろうなと思った だからそう言われたら「できてないんです。なんでできないと思いますか?」と言って「ずっと好きな人がいて、でもその人とは付き合えなくて、他の人に目を向けてみてもなかなかダメで」みたいな感じで会話持っていけないかなぁと思ったらやっぱ「彼氏できた?」と聞かれてなんでできないと思うかと問えば「色気がないからじゃない?」と言われた それ気にしてるやつ〜自覚してるやつ〜よく分かっていらっしゃる
「色気ってどうやったら出るんですかね」「難しいね、三戸ちゃん何歳だっけ?◯歳?」「…そんな若くないです。◯歳ですよ」「二つ外しただけじゃん。もうちょっと歳とったら出るんじゃない?」それ、適当なこと言ってる時の顔 関西だと最後に「知らんけど」って言う時の顔
「あの、今日相談したいって呼んだんですけど覚えてますか」「ああ、そう言えばそうだったね」「私から飲みに行こうって言ったの珍しくないですか」「そう?そんなことないんじゃない」なんかすっとぼけられてる気がするな。それにしても今日の私はいつもよりダメさに拍車がかかってるし全然予想通りに進まないな「好きな人がいて、でもその人のことは諦めないといけなくて、そういう時どうすればいいと思いますか?」
その時なんて答えられたのかあんま覚えてない たぶん「他の人に目を向けるしかない」みたいなこと言ってた気がする「その人のことはいつから好きなの?」「一年くらい前」とか言った 「◯◯?それとも〜〜さんだったりして、あはは」と冗談っぽく会社の人の名前を出す 絶対に私が何を言おうとしているのか気がついている 分かっててかわしている どうしたら良いのか分かんなくなって涙が出てきたら笑ってハンカチ渡された「鼻水つけないでよ」っていつもみたいに喧嘩売ってくるから「つけないです!」と怒った
会計して店を出た 私がトイレに行ってる間に好きな男が払ってた はぁ、いつもそうなんだよこの人 駅から少し遠いポツンと佇むお肉が美味しい店だった 駅どっちだっけと歩き出す まだ何も言えてない 店選びも、美味しかったけど告白するのにはきっと向いてなくて失敗しちゃったな
私も好きな男も初めて飲みに行く街だった 飲み屋街ではなくてマンションが建ち並ぶ静かな、店や灯りも少ない街だった 歩道には私と好きな男以外歩く人も見当たらない 歩きながら好きな男が「なんか、寂しい街だね」と言った そうですねと言いながら、初めて来たけど、好きだなぁと思う街でもないけど、こんな日にはおあつらえ向きの街かもしれないと思った 少し前を歩く好きな男が信号待ちで「俺が知ってる人?」と振り返った 心がめちゃくちゃだ
「わざとやってますか?」「わざとって?」「…あの、ハッキリ言いますけど!さっき話したの、全部◯◯さんのことなんですけど!」怒ってしまった もっと落ち着いて言うつもりだったのに さっき一回引っ込んだ涙がまた溢れ出てきて「今日、めちゃくちゃ勇気を出したんです…」と言ったら抱き締めて頭撫でられて「そうだよね…」ってちっちゃい初めて聞く弱々しい声で言われた すぐ側にちょうど良く小さな灯りのほとんどない誰もいない暗い公園があって、手を引っ張られてベンチに二人で腰掛けた
さっき借りたハンカチで涙を拭いてぐしゃぐしゃになる私の隣りで好きな男は私の肩を抱いたり背中をさすったり頭を撫でる いつもよりもっともっと優しい初めて聞く声で「他にいると思うけどな…」と呟く
あなたからしたら本当に大したことないことかもしれないし、特に何か考えてのことではなかったかもしれないけど、私が手伝ってもいない仕事の打ち上げで高級な焼肉屋さんで打ち上げする時に「ろくなもの食べてないって言ってたから」って呼んでくれた時や休みの日にも「ちゃんとご飯食べたかなと思って」とご飯に誘ってくれた時とか、普段も一言二言声をかけてくれるだけで実はすごく嬉しかったり楽しかったんです 魅力ないとかもいつも言ってくるけどすごく優しいなと思ってました 他にも何気ない時に気にかけてくれてるのかなと思う時がいっぱいあって、本当に嬉しかったんです
いつもだったら「別に気にかけてねぇよ」とか言って笑うであろう好きな男が「そうだよ、いつも気にかけてるよ」とあまりにも優しく言ったので胸がいっぱいになってしまった
好きな男は何回も「他にいっぱいいい人がいると思う」と言った 他の人とご飯とか行ったりもしたんですけどやっぱり◯◯さんがいいなと思っちゃうんですと返した
「狭い世界にいるからそう思うだけで、きっともっともっと外に出て色んなことやったりしたらいい人なんかいっぱい居るよ。一つのことだけ見てたらダメだよ。三戸ちゃんは結構こうだと思って決めつけることが多いけど、決めつけてもあんまり良いことないと思うよ。三戸ちゃんは若いからまだまだこれからなんだよ」そう思う。自分で分かっている。会社にも、外にもいっぱい人がいる。もっといろんな人と関わっていろんなことを知らなきゃいけない。きっともっと好きだと思えたり、たまらなく好きではないかもしれないけど普通に楽しく幸せに一緒になれる人も居るし、もっと楽しいことだって沢山ある。それでも今この瞬間、この狭い狭い世界で出会った中でもあなたよりかっこいい見た目の人やお金を持った人や悪態つかずに優しくしてくれる人や結婚していない人が居る中で、あなたのことがこんなにも大好きで苦しんでいる
「こんな悪い男好きになっちゃダメだよ。全然優しくなんかないし。今も三戸ちゃんのおっぱい触ろうか太ももにしようかとか考えてるだけだよ」って言われた 会社の人も冗談っぽく好きな男のことをよく悪い男だと言う 自分で悪い男って言う人が悪いわけないと思うけどなぁ 私の気持ちにたぶん気づきながらずっと優しくしてきたのはもしかするとちょっと悪いかもしれないし、いつも意地悪だとかずるいと思うけど、欠点だってあるけど、それでもなんだかんだすごく優しい人だなと思うよ 人として大事にしてもらってた気がするよ
「言わない後悔より言って後悔だと思って言ったんですけど、言わなきゃ良かったかもしれない、と思いました」「なんで?言わなきゃ良かったなんてことは絶対にないと思う」
好きな男が自分に対して言われてることなのに「そんなに人を思えるのってすごい」とか「いいな、俺も三戸ちゃんと同じ年くらいに戻りたくなった」とか言う いい歳して子どもみたいな私に反して大人の余裕だなぁと思う きっとそこも好きで、でもそれはたとえ周りから言われるくらい仲良しでも永遠に越えられない壁みたいなもので、途方に暮れる
好きな男が何回か「タイミングがあるからね…」と言った もしも、好きな男が結婚していなかった時に出会っていたら、と少しだけ思ってしまったし、口に出しそうになってしまった けどもしもなんかはなくて、現実にはタイムマシンもパラレルワールドもなくて、そういう運命なのだ 好きな男が結婚して今の会社に入って、私が会社に入って、だからこそ出会えて、そうじゃないときっと出会うことはなくて、たまにそういうことを考えて心がめちゃくちゃになる
いつも散々「魅力がない」って言うくせに「三戸ちゃんは魅力的だから大丈夫だよ」と頭を撫でてくれた 冗談でいつも言ってくるのは分かっていた 最初から終わってるみたいな恋だから何もかも諦めていたけどずっと欲を言えば「大丈夫だよ」と言って抱き締めて頭を撫でてほしかった 他の誰かに言われるのではなく、あなたに大丈夫と言ってもらいたかった デートした訳でもキスした訳でもなくて、そんな大したことじゃないものだと思う でもきっと一番欲しいと願っていたものだった気がする
「自信を持てたら魅力に繋がると思うんです。でもどうやったら自信がつくのか分からなくて」「なんで持てないかなぁ。自信もったらいいと思うんだけどな」
「何がいいかなぁ。運動とか、体鍛えると良いと思うんだけど。ジムとか行ったらどう?三戸ちゃんが機具みたいなのに挟まったりしてさ、困ってたらいい男がきっと助けてくれるよ、あはは」こんな時でもいつもみたいに話してくるなぁと思った
「…落ち着いた?とりあえずどうすることに決めた?」「えっ、うーん…やっぱ、ジムに…行こうかな…?まぁ運動みたいなのは何かしたいと思ってたからちょうどいいのかな…?」「ジムとかでさ、好きな人とか彼氏できたら報告してよ。相談とかもあったら聞くし」そんな簡単にできるかよ、こんなに自分のことを今も好きな人間にそんなこと言うかよともちょっと思うけど、どうしようもなく優しさなんだろうな
「来週からいつも通り接することができるか不安でギリギリまで伝えるか悩みました」「なんで?俺は別に普通に話せるけど」「いや…◯◯さんはそうだと思うけど!私が色々考えちゃうかなって」「いつも思うけど三戸ちゃん余計なこと考えすぎ。考えても仕方ないじゃん。その時にならないとどうなるかなんて分からないよ。なるようにしかならないし、どうにもならない時はどうにもならないだけの話」「どうにもならない時はどうにもならないんだ…」「だってそうでしょ?だから何も考えないこと。それでジムに行って体を鍛える。他のことに目を向けること。分かった?できる?」「うーん…できるか分からないけど、頑張ります」「三戸ちゃんお得意のうーんが出たね」「あはは、あ〜なんか今日ずっと◯◯さんの手のひらで転がされてる気がする…」
どうやら公園で2時間以上泣いてたらしい 好きな男が「さすがに泣きすぎ」「ベンチの後ろにあった葉っぱずっと刺さってきててすごいチクチクしたんだけど」と文句を言ってきた いつもは反論するけどさすがに申し訳なくて素直にすみませんと言った 自分でもびっくりする コンビニ行こっかと近くのコンビニに向かった
コンビニで好きな男がトイレに行ってる間、話している間に「これお土産」とどさくさに紛れて雑にカバンに入れられた旅行のお土産が何だったのか眺める 普通の、たぶん何冊かセットでお土産屋に売られているような小さめのノートとパッケージが少しかわいい感じのオイルバーム 前に他の人にお土産と言って海外の歯磨き粉渡してた時も思ったけど、服などのセンスがいいわりにお土産のセンスが謎すぎる
好きな男 いつも飲んでる時遅くなってくると奥さんと連絡とるけど一回も電話しなかったな ほぼ全く携帯を触らなかったな この夜だけは私と向き合ってくれたのかな 一生分かんないけど 気のせいかもしれないけど
私が「ビンタされたとか離婚しようって定期的に言われるとかずっと一緒に居るから飽きたなんて言ってるけど、今も一年に一回でも一緒に旅行するくらい仲良くて、お互い文句言いつつもお互いのことをずっと大事にしてて一緒にいてっていうのがすごく素敵なことだと思うんです。私の両親は離婚していて仲が良いところも見たことがなかったから、そういうのに憧れます。一人の人を長い間大切にするってだれにでも出来ることではないんです。だからそれが出来るところも含めて◯◯さんのことが素敵だと思ったんです」と話した時珍しくずっと無言で話を聞いていた。「別に(奥さんと)仲悪いなんて言ってないよ」とポツリと言った。やっぱりなんだかんだお互い文句を言いつつも、始まりは軽い気持ちで付き合ったつもりでも、今じゃ新鮮さがなくても、一緒に過ごした時間が二人のすべてなのだ。一緒に居るのが当たり前になって、お互いかけがえのない存在になっている。勝てると思ったことはないけど、勝ち負けではそもそもないけど、あぁ、本当に勝てないなとその時痛感した。知り合いで不倫をしていた子がいる。「奥さんが厳しくて私とは趣味の話も合って落ち着くって言うし、お互い本当に愛し合っている」というような話をまるで自分が勝っている、自分が一番なんだというように楽しそうにしていたのを覚えている。ほとんどの場合、そんなことあるわけがない。若い女に手を出す男はいっぱい居るけど、ほぼみんな最終的には家庭を選ぶ。人生を共にするって、本当にすごいことで。ずっと最初から変わらず仲良く上手くやっていけるなんて人はきっと少ないけど、それでも何年何十年と一緒に生きてる人と同じ土俵に立てるわけがない。
コンビニで缶ビールを買ってくれた 好きな男はサッポロ、私はエビス 店の隣にちょうど腰掛けられるような所があってそこに座った こんなの学生みたいだな「これ飲んだら帰ろっか」「そうですね」あぁ、二人だけの夜が終わっちゃうな
昼は30度に差しかかろうとしているくらいの暑さだというのにまだ夏と言うのには早くて夜中はさすがに冷える 計画性もなく上着を持ってこなかった半袖の服で寒いと言う私に好きな男が着てたジャケットを肩にかけてくれた 好きな男もジャケット脱いだら半袖なのに 急に温かくなった なんかこんなの、いいな ドラマとかそういうのみたいだな
「さっき抱き締めた時とかに思ったけど、三戸ちゃん思ってた以上におっぱいないなと思った」
「うるさいな!気にしてるんだからわざわざ言わないでくださいよ」
「あはは、気にしてるんだ」
「…今日、ホテルに連れて行こうとしたりすることもあるのかなぁなんて思ったりしたんですけど、なかったから、ちゃんとしてるなって思いました」
「…あはは、そう?じゃあ行くとしたら次だね」
「………寒くないですか?」
「寒いよ。…まぁ、なんかまた相談したいこととか落ち込むこととかあったらさ、言ってきてよ。俺が慰めるよ」
「悪い意味で?」
「あはは!どうかな。まぁ、今日太ももとか触り損ねたしね」
「…今日、泣き疲れちゃいました」
「はは、あんだけ泣いたらそうだろうね。俺も疲れたよ。もう一時だね。眠い…」
「…もし、もっと遅くまで開いてる飲み屋がいっぱいあるような所に誘ってたら、朝まで付き合ってくれましたか?」
「…いやー、朝まではキツイかな。もうおじさんだからさ、あはは」
「あはは、そうですよね〜」
「……」
「……」
「……じゃ、帰ろっか」
「はい!……タクシー来ますかね……お、ちょうど来た」
「タクシー代、カバンに突っ込んどいた。…じゃあね」
タクシーに乗ってから振り返って好きな男に手を振ったりはしなかった あの後すぐ他のタクシーを捕まえて無事に家に帰れたかな 風邪ひいてないかな 運転手とは目的地を告げてから一言も話さなかった タクシーの中で泣きじゃくるかと思ったら全く泣かなかった ずっと景色を見ていた気がするけど何一つ覚えていない 何を考えながら車に揺られていたのかも覚えていない
家に帰ってもうひと泣きして疲れて気づいたら眠っていた 朝早くに起きてボーッとコーヒーを飲みながら夜のことを思い出していたら、昨日の夜は言わなきゃ良かったって思ってたのに、奥さんの話とか自分の話とか思ってることはほとんど話してくれなかったなとか少し不満を感じていたのに、あぁ、とんでもなく最高の夜だったな、今までの人生で一番素敵な日だった、心の底から自分の気持ちを伝えて本当に良かったなと思ってまた泣けてきてしまった
人生で初めて血も繋がらない、出会って一年半の他人に、傷つくことを分かりながら勇気を出して嘘偽りのない自分の気持ちを伝えて、それに誠実に応えてもらえた気がする こんなに幸せなことがあるか、と思う 好きでいても報われない虚しい恋だと最初から思っていた でも、報われたなと思う 全く虚しいことなんかなくて、私にとって今までの人生で一番かもしれないくらい意味のあるものだった こんなに辛いけど、なんだか少しだけ前向きに進んでいけそうな気がする きっと他の人のことだって愛せる気がする 伝える前はもう好きな男と飲むことはないかな、仕事を辞めたら会うこともないのかなとか思ってたけど、もっといい女になって、いい男を捕まえたよ、幸せになったよ、大丈夫になったよとか、いつか飲みながら話せたらいいな まぁ、結婚だけが人生のすべてではないから、結婚しないにしてもいい女になったなと思われないと 好きな男の前で胸を張れる自分になりたいな これからどうしよう、とりあえずジムに通おうか 続かないかもしれないし、いい男は見つからないかもしれないけど
次に会社で会う時、普通に話せそうな気もするし、少し不安な気もするし、仕事中ふとした時に泣いてしまうかもしれないけど、どうかな まぁ、なるようにしかならないか とりあえずまた飲みに行きましょうねって言おうかな
あの日の夜、三戸ちゃんはたぶん結構ネチネチしたタイプだよねと言われてさすが、バレてるな〜と笑った ネチネチしてるからこんなに人に執着して好きになって気持ちを伝えたくて、自分の魂を救いたくてこんなネチネチ長い文章を書いてるんだよ 自分でも重くて面倒な女だと思う でも、ゆっくりでも他のことに目を向けてみるよ 全然タイプじゃない年の離れた結婚してる人をうっかりこんなに好きになることもあるんだもんな〜人生何があるか本当に分からないね きっと生きてたら他にも予想もしない出会いとか出来事があるんだろうね
長くなっちゃった 次に好きな男に会うの不安もあるけど、なんか、楽しみだな 文句言われるからこれからはこんなに好きな男の話ネチネチしちゃダメだな
最後タクシーに乗り込む直前、肩にかけられたジャケットを後ろから回収されて「あ〜ジャケット回収されちゃいました」って振り返った時、じゃあねと好きな男が優しく笑った顔、ずっと忘れられないんだろうなぁ
好きな男に言ったら笑ってバカにされるから秘密にしておこうっと